ICO(クラウドセール)トークンの売り方

ICOで買ったトークンは、いつ、どのように売ればいいのでしょうか。ICOで買ったトークンは、以下のような流れで売却へと至ります。

 

  1. ICOでトークン購入
  2. ウォレットにて保管
  3. 取引所に上場される
  4. 値動きや市場での反応をみながら、売るかどうかを考える
  5. 売る場合は、取引所へ送金し、売却

 

この中で特に重要なのは、4以降となります。ICOトークンは、取引所への上場時に一気に数倍の値がついたり、或いは逆にICO価格を割るケースもあります。そこで、ICOトークンが取引所に上場される(3)前に、「市場でどのように受け入れられるのか」「長期的にどのような値動きが想定されるのか」ということを、

 

  • 市場規模
  • 発行枚数
  • 直近のニュース
  • ロードマップ

 

などを参考に分析するのが好ましいと考えられます。無論、正確な予測など不可能ですから、ある程度のパターンを想定します。

 

 

上場後すぐに値上がりしそうな場合

以下のような条件を満たすICOトークンは、上場後数時間〜数日で数倍の値がつくことがあります。

 

  • 発行枚数が少ない
  • ICOでの募集金額が少ない(=少しの人しかトークンを持っていない)
  • ICOが短時間で完売した
  • 話題となるニュースが発表されている、或いは噂されている
  • 大手の取引所に上場される

 

こうしたICOトークンは、短期的な値上がりを誰もが期待するため、市場でも買い注文が重なり、上場後僅か数時間で数倍の値がつくことがあります。ただし、これはあくまで投機的な動きで、値段の上昇が落ち着くと皆売り始め、価格は下落します。ここから再び上昇し始めるには長期的な時間がかかりますので、こうしたケースは上場後数時間で売ってしまい、(長期的にも有望と考えられる場合は)その後下落したところで買い戻すという戦略があります。一度下落してからは、プロジェクトの進展とともに値上がりしていくという健全な動きをみせるでしょう。

 

例:上場後すぐに値上がりし、その後下落

Status

 

Statusは、ICO価格が0.0001ETHで、上場後の初値が約0.00018ETH(約1.8倍)、2日目には約0.00045ETH(4.5倍)の値をつけたが、その後徐々に下落し、9月20日現在、ICO価格を割る0.000084ETHとなっている。ここから新たな上昇トレンドを迎えるには、Statusのプロジェクトが前進しているというニュースが必要です。

 

例:上場後すぐに値上がりし、その後も上昇を続ける

OmiseGo

 

しかし中には、このOmiseGoのように、上場時の初値でICOの約3.8倍をつけ、その後もほぼ下がらず上昇し続けるパターンもある。OmiseGoの場合は、Ethereumの創始者であるヴィタリックがアドバイザーに入っていたり、タイ大手のオンライン決済サービスPaysbuyとの事業統合や、タイの中央銀行との対談等、またETH保持者へのエアドロップ等、長期的に期待を持たせるニュースが相次いだため、このような上昇となっている。また、そもそもICOで”ちょうど良い規模”の資金調達しか調達しなかったのも幸いしているだろう。(資金を集めすぎると、市場規模が大きくなりすぎて、値上がりに結びつきにくい)

 

参考:

タイのフィンテクスタートアップOmise、”節度を持った”ICOで2500万ドル調達

2017年、OmiseGO(オミセゴー/OMG)高騰の理由まとめ

 

とは言え、OmiseGoが今後もずっと上昇を続けるかはわからない。OmiseGoは既に事業実績のあるOmiseという企業がプロモートしており、今後も堅実な成長は期待されるが、アルトコイン市場全体の冷え込み等が訪れた場合、その余波に巻き込まれる可能性は十分ある。現在、ICOより20倍以上の値段をつけているため、ここらで半分くらい利確しておくという選択もアリだろう。

 

 

上場後短期間では値上がりしないケース

先ほどの例に当てはまらないトークンは、上場しても短期間では高い値段がつきにくくなります。ICO価格より少し高いか、場合によってはICO価格より安くなってしまうこともあり得ます。このようなトークンは、

 

  • 発行枚数が多すぎる
  • ICOでの調達金額が多すぎる(=多くの人がトークンを持っている)
  • 話題性に欠ける

 

といった特徴が挙げられます。もっとも、プロジェクトの内容はしっかりしているのに、話題性に欠けるがために短期間では値がつかないトークンもありますが、やはり内容が乏しく、プロジェクトに期待がもたれないトークンの場合は、ICO価格を割り込んでしまうことが多々あります。このような場合は、焦って売ってしまうよりも、長期的な目線での値上がりを期待して、長期ホールドすることが望ましいでしょう。もともとICOに投資する際に、そのプロジェクトに可能性を感じたのならば、短期的な値下がりは気にせず、長期的な視点でプロジェクトを見守りましょう。

 

Bancor

 

BancorのICO価格は0.01ETHだったが、上場後の初値が約0.0092ETHと、ICO価格を割る結果に。3日後には0.01008ETHと、かろうじでICO価格を上回る値をつけたが、その後は徐々に下落し、9月20日現在、0.0075ETH、ICOより約25%のマイナスとなっている。Bancorは巨大プロジェクトとして注目を集めたが、ICOでの調達額が150億円を上回り、さすがに額が大きすぎると批判されている。ここまでの規模になると、トークンを持つ人がたくさんいるわけで、故に売られる可能性も高まってしまう。(とは言え、これ以上の規模でも成功しているプロジェクトはあるので、一概には言えない。)

 

※Bittrexに上場される前に、小規模な取引所に上場されており、そこでは6月末にICO価格を30%程上回る値がつきました。確実に売り抜けたい場合は、こうした小規模な取引所への上場ニュースをいち早く察知し、アカウントを開設することが望ましいでしょう。

 

Aragon

AragonのICO価格は0.01ETHで、初値はICO価格とほぼ同じ、翌日には0.01ETHと、ICO価格を5%程上回る値をつけたが、さらなる上昇は発生せず、じわじわと下降トレンドを描きながら、9月20日現在0.00635ETH(ICOより約-32%)という値をつけている。Aragonがここから上昇へ転じるには、開発が進んでいることをアピールできるポジティブなニュースが必要だ。

 

 

ICOを取引所で売るには

ICO後の流れがわかったところで、実際にどのようにして取引所で売ることができるのかをみていきましょう。仮想通貨の取引所というのは、株式で言う証券取引所とは少し違い、民間企業が自由に設立しています。そのため、”東京証券取引所”のような、”まとまった取引所”はなく、各取引所が独自の取引を提供しています。

 

日本国内だけでも10以上の取引所が存在し、世界にはさらにたくさんの取引所があります。それぞれの取引所がそれぞれの市場を持っているので、同じ銘柄でも取引所によって値段が少しずつ異なります。ICOトークンを売る上で重要なことは、数ある取引所のうちのどこにトークンが上場されるかということです。なぜなら、各取引所によって様々な特徴があるからです。もっとも、この情報は、プロジェクトチームの公式発表をフォローしていれば、簡単にキャッチすることができますが、該当する取引所がどういった特徴をもっているのかを把握しておくことも重要です。

 

主な取引所の紹介

数ある取引所の中でも、世界的に大手として幅広いユーザーに利用されているのが、以下の2社です。

Bittrex

200種類以上の銘柄を扱う、世界最大級の仮想通貨取引所。様々な銘柄を取引できるため、多くの仮想通貨トレーダーが利用している。

 

Poloniex

40種類以上の銘柄を扱う、世界最大級の取引所。Bittrexより銘柄数は少ないが、40種類あるので主要なトークンはカバーされている。Bittrexよりも取引量が多いことが特徴。こちらも、仮想通貨トレーダーは必ずお世話になる取引所。

※2017年9月現在、PoloniexよりBittrexの方がより人気になっていることが伺える。Poloniexのサポート体制の悪さ等が災いしており、ユーザー離れが加速している。

 

この2つが、ICOトークンを売る際に最も利用するであろう取引所です。もちろん、取引高だけでみると、アメリカのCoinbaseや、中国のOKcoin、日本のBitflyer等も規模が大きいですが、これらの取引所はBitcoinやEthereumといった代表的な仮想通貨しか扱っていないため、ICOトークンのような新しいトークンは上場されないのです。従って、ICOトークンが真っ先に上場されるであろう上記2社の取引所が最も重宝されると言えます。

 

この2社に上場される場合

  • 大手の取引所なので、ここに上場されるだけで高い値がつく場合が多い
  • 取引量が多いので、よっぽど大きい額でない限り、スムーズに売買ができる
  • 世界的に有名な取引所なので、カウンターパーティリスクが低め(ただしどの取引所にも言えることだが、100%安全だとは思わないように)

 

この2つの取引所なら、取引量も多いですし、信頼もあるので、まず問題なく売買を行うことができるでしょう。

 

中流の取引所

しかし、全てのICOトークンがBittrexやPoloniexに上場されるわけではありません。むしろ、いきなりこの2つに上場されるトークンはかなり優秀で、それだけで短期的な値上がりが予想されます。他の多くのマイナーなICOトークンは、BittrexやPoloniexよりも規模が小さく知名度も低い、中流レベルの取引所へ上場されます。

 

Liqui

ウクライナに籍を置く取引所。Bittrexと同じく取り扱い銘柄は多いが、取引量は比較的少ない。稀に送金のエラー等が発生することが報告されているので、常用は避けたい取引所だ。

 

 

HitBTC

ヨーロッパの取引所で、Liquiと同じく銘柄数は多いが取引量は少なめ。しかし、様々なマイナートークンが上場され、取引量が少ないが故に何倍もの値がつくこともある。また、まれに有名なトークンが上場されることもあり、その際は10倍以上の値がつくケースもある。ある意味、穴場と言える取引所。

 

Binance

中国系の取引所で、特徴はHitBTCに似ている。中国系の銘柄(NEO等)の扱いが豊富だったが、中国当局の規制により、現在は苦戦を強いられている。中流の取引所に上場された場合

  • 取引量が少ないので、大きな額を一度に売ることはできない
  • 取引量が少ないが故、簡単に価格が高騰することがあるが、下落も激しいので、乱高下に注意
  • 資金力も知名度も低めの取引所なので、カウンターパーティリスクは常に意識しておくこと

 

ユニークな取引所

最後に番外編として、ちょっと怪しげなユニークな取引所をご紹介しましょう。

 

Yobit

どの国に籍が置かれているかすらわからない謎めいた取引所だが、一説にはロシアだとも言われている。Bittrexよりも多い様々な銘柄を取り扱っているが、取引量は極めて少ない。しかし、主要銘柄は少額であれば問題なく売買できる。一方で、取り扱い銘柄の中には、全く何の価値ももたないトークンも多く含まれており、これらはある意味ネタなのではないかと思われるほど。とは言え、時にレアもののトークンが上場されることもあり、その際の価格上昇はとても急激で、方々から話題を呼ぶことがある。しかし、そもそもどのような企業が運営しているのかさえはっきりとしない取引所なので、利用する場合はそのリスクを十分承知の上で利用しよう。

 

Yobitに上場された場合

さすがにYobitにしか上場されないというケースはあまりないが、もしそのような場合は、マーケットの様子を見ながら少額ずつ取引するか、中流以上の取引所に上場されるまで待つと良いだろう。とは言え、Yobitにしか上場されないICOというのはかなりマニアックな案件だと言えるため、基本的にはお世話になることはないと思われる。

 

いかがでしたでしょうか。このように、世界には様々な取引所があれど、それぞれ特徴によって使い分けることができ、常用する取引所は限られてきます。自分が持っているICOトークンがどこかの取引所に上場されることが決まったら、このページで挙げられている項目を参考に、どのような戦略で売買するかを考えてみましょう。もっとも、ICOは本来、開発チームの進捗を応援するという意味でも、長く持ち、長期的な利益を目指すものです。短期的な利益をだすには投機的な動きも必要ですが、一方で冷静な投資という観点も忘れず、バランス良くICOに投じるのが良いでしょう。